この村の魅力は何ですか?【第9話】
日曜日の昼下がり。
よしみは、
いつものように村の広場のベンチに座っていました。
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手には一冊の本。
木漏れ日が揺れ、
広場にはゆっくりとした時間が流れています。
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特別な予定があるわけではありません。
それでも日曜日になると、
なぜかここへ来たくなるのです。
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本を読んだり。
誰かの張り紙を眺めたり。
時々、
ぼんやり空を見上げたり。
そんな時間が好きです。
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すると、
小林君がこちらへやってきました。
「こんにちは!」
小林君は少し笑いながら言いました。
「この時間なら会えると思ったんです。」
「え?」
「だって、
日曜日のこの時間は、
いつもここにいますよね。」
よしみは思わず笑ってしまいました。
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言われてみれば、
確かにそうでした。
日曜日になると、
気づけばこの広場へ来ています。
ただそれだけのことでした。
でも、
小林君は見ていたようです。
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そして、真面目な顔になり聞いてきました。
「実は聞いてみたいことがあって。」
「なに?」
「この村の魅力って何ですか?」
突然の質問でした。
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よしみは少し考えました。
魅力…
そう聞かれると、
意外とすぐには答えが出てきません。
静かだから?
優しい人が多いから?
居心地がいいから?
どれも間違っていない気がします。
でも、
何か足りない気もしました。
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「うーん。」
しばらく考えてから、
よしみはゆっくり話し始めました。
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「自分の個性を伸ばせるところかな。」
「個性ですか?」
「うん。」
この村は自然が豊かで、
のんびりしていて、
不思議と想像力が広がるの。
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歩いているだけで、
さっきまで思ってもいなかったことが、
どんどん浮かんでくる。
そして、
気づけば言葉になっているの。
「不思議でしょ」
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「実はね。
私、文章を書くのが苦手だったの。」
書いては消して。
書いては消して。
結局、
何も書けないこともよくあった。
何を書けばいいのか分からなくて、
画面を開いては閉じる。
そんなことばかりだったの。
でも、
この村へ来てから変わった。
誰かとの会話や、
ふと見た景色が、
物語の種になる。
「あっ、これ書きたい。」
そんな瞬間が、
次々やってくるの。
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作曲家さんや作詞家さんが、
「降ってきた」
って話をすることがあるでしょう?
昔は、
その意味がよく分からなかった。
でも今なら、
少しだけ分かる気がするの。
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小林君は静かにうなずきました。
「なるほど。」
「だから、
よしみさんのお話って楽しそうなんですね。」
「そうかな」
「はい。」
「話しているだけでも、
楽しそうなのが伝わってきます。」
その言葉に、
よしみは少し照れくさくなりました。
そして、
二人とも思わず笑ってしまいました。
村の魅力を聞かれたはずなのに、
気づけば自分自身が、
この村の好きなところを再確認していました。
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この村に来て、
まだ17日。
本当は、
村の魅力を語れるほど長くいるわけではありません。
それでも、
ひとつだけ分かることがあります。
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ここへ来てから、
私は前より自分らしくなれた。
前より、
言葉を書くことが好きになった。
そして、
前よりもっと、
毎日が楽しくなった。
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小林君が帰ったあと、
よしみはベンチに座ったまま空を見上げました。
木々の葉が風に揺れ、
やわらかな日差しがこぼれています。
気づけば、
頭の中にまた新しい言葉が浮かんでいました。
「あっ、これ書きたい。」
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よしみは本を閉じると、
またひとつ、
新しい物語の種を見つけました。🌿📖☕✨
この物語は、
立派な答えを見つける話ではありません。
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気づけば好きになっていた場所や、
大切にしていた時間に出会う物語です。
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よかったら、
また村へ遊びに来てください🏡🌿✨









サブスタックの大人の道徳絵本集✨
よしみさん
自分らしくなれる環境は大事ですよね💡
そんな環境はこれからも大切にしていきたいですね😊✨